こんにちは、SideCraft の mura です。

先週の SideCraft Notes #3 では、「答えの種類」をお話ししました。「答えを教えて」ではなく「論点を並べて」と頼む — バグ調査や方針判断の壁打ちで、試していただけましたか。

今週は、5軸の4つ目 「往復数」 を扱います。1往復で終わらせるか、3〜5往復に刻むか。同じ問いでも、刻み方で返答の解像度が変わる話です。

今週のテーマ: 大きく聞くほど、答えは浅くなる

LLM に一発で全部聞こうとすると、返ってくるのは「広く浅い教科書的な答え」になりがちだと、私は思っています。

たとえば、新しい機能の設計を相談するとき。最初はこう投げがちです。

ユーザー登録機能を作りたいです。設計を教えてください。

返ってくるのは、一般論としては正しい設計です。テーブルはこう、エンドポイントはこう、認証はこう。でも、自分のアプリの前提 — 個人開発なのか、運用に手をかけられるのか、既存の構成は何か — が反映されていないので、そのまま使うと後でズレます。

私自身、最初の頃は機能設計を一発のプロンプトで全部聞いて、返ってきた長文をそのまま実装し、後から前提が自分のケースに合わず作り直したことがあります。一見早そうに見えて、結局やり直しで遅くなりました。

同じ相談でも、3〜5往復に刻むと、答えが自分の状況に寄っていきます。

1往復目は、論点を出してもらいます。

ユーザー登録機能を作ります。設計の前に決めるべき論点を、重要な順に挙げてください。

2往復目は、出てきた論点を1つ選んで深掘りします。

認証方式の選択肢を、個人開発で運用負荷を抑えたい前提で比較してください。

3往復目で、決めた前提を渡して具体化します。「メール+パスワードでいく前提で、必要なテーブルとエンドポイントを挙げてください」というように。

刻むと、各ステップで自分の状況を渡せます。LLM は前の往復の文脈を踏まえて答えるので、回を追うごとに解像度が上がっていきます。機能設計を例にしましたが、考え方は他のタスクでも同じです。

ポイントは2つです。

  • 一度に全部聞かず、論点出し → 深掘り → 具体化 の順に刻む — 大きな問いを1往復で投げると広く浅くなります。刻めば、各ステップで前提を渡せます

  • 往復の途中で軌道修正する — 2往復目以降は、前の回答を見て「ここは違う、ここを深めて」と方向を直せます。1往復だと、その修正の機会がありません

もちろん、何でも刻めばいいわけではありません。事実確認や定型作業のような「1往復で十分な問い」を3往復に分けるのは、ただの遠回りです。判断や設計のように、前提が結果を左右する問いほど、刻む価値が出ます。

「一度に聞かず、刻んで聞く」。それだけで、壁打ちが設計の相棒に変わります。

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次回予告

来週の SideCraft Notes #5 では、5軸の最後 「出力形式」 を扱います。同じ内容でも、表で返すか、コードで返すか、箇条書きで返すか — 受け取る形を指定するだけで、返答が「読むもの」から「使えるもの」に変わる話です。これで5軸が一周します。

質問・感想は このメールへの返信 で受け付けています(直接 mura に届きます)。X では #SideCraftNotes でも歓迎です。

それでは、また次の日曜に。

mura(SideCraft)
https://sidecraft.dev/

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